’2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(シップリサイクル条約)’が来年、2025年6月26日に発効します。
条約の内容や要求事項などについてご説明します。
1.シップリサイクル条約
シップリサイクル条約、正式名称’The Hong Kong International Convention for the Safe and Environmentally Sound Recycling of Ships, 2009’は、船舶を解撤、リサイクルする際に人の健康や安全、環境の保護を目的として2009年に採択されました。2023年に発効要件が満たされたため、2025年6月26日に条約が発効します。対象船舶は総トン数500トン以上の船舶です。
2.船主に課されること
大きく以下の二つが条約により要求されます。
- 主管庁により認定された適切な施設で船舶を解撤すること
- 有害物質インベントリ(IHM:Inventory of Hazardous Material)を保持・管理すること
3.有害物質インベントリ/ IHM
IHMとは、船舶に存在する有害物質(アスベストなど)の場所や量などを一覧にしたリストのことです。既存船はIHMの作成を専門家に依頼することが一般的です。
4.タイムライン
新造船:条約発効後(2026年5月26日以降)に建造契約が締結される船舶は、Delivery時にIHMを備える
既存船:条約発効後5年以内(2030年6月26日まで)、もしくは船舶が解撤される時期のいずれか早い方までに、IHMを作成し規則に適合する必要があります。ただしリベリア籍船は条約発効時までにIHMの作成および国際証書の保持が求められていますので、ご注意ください。
5.条約に適合する手順
既存船が条約に適合する手順は一般的に以下の通りです。
- 船主(船舶管理会社)が専門家にIHMの作成を依頼する
- 専門家がIHMを作成する(この際、専門家による訪船・調査・サンプリングの採取が行われることが一般的です)
- IHMをRO(船級)が承認し、Interim SOC (Statement of compliance)もしくはSOCを発行する。
- 上記のSOCを基に、主管庁が国際証書(Internaional Certificate on IHM)を発行する
手順の詳細は船籍により異なりますので、詳細はROもしくは主管庁にお問い合わせください。なお、パナマはまだ国際証書の発行に関する通知は出されていません。
6.シップリサイクルに関する欧州規則との関係
欧州はIMOに先立ち、シップリサイクルに関する欧州規則を既に発効・運用しています。非EU籍船であっても、EUに寄港する船舶はIHMの保持が2021年から求められており、すでにIHMを所持している船舶も多いのではないでしょうか。
船舶が欧州規則に適合したIHMを保持しSOCを所持している場合の、シップリサイクル条約に適合するための手順は船籍により異なりますので、詳細はROもしくは主管庁にお問い合わせください。
一般的には、欧州規則はIHMに関してシップリサイクル条約をフォローする形で作成されているため、新たなIHMの作成は不要です。
7.参考
2023 GUIDELINES FOR THE DEVELOPMENT OF THE INVENTORY OF HAZARDOUS MATERIALS
シップリサイクル条約で要求される有害物質一覧表(イ ンベントリ)第 I 部の維持管理につい
シップリサイクル条約/欧州規則への対応について (リベリア籍の取り扱い)
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