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東洋船舶 Tech. メルマガ 第11号
“『On-spec』と判断された燃料も悪影響を及ぼします”
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こんにちは!東洋船舶 海工務部です。
メールマガジン第11号は、燃料油品質の規格であるISO 8217に適合しているにも拘わらず機器に悪影響を及ぼす低質燃料油への対応についての一例をご紹介します。皆様のご参考となれば幸いです。
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船舶で使用される燃料油はMARPOL条約および各国港湾で定められた基準値以下の硫黄含有量 (% m/m)の燃料を使用しなければいけませんが※、それ以外の燃料油の性状についてはISO 8217 を代表とする規格を準拠する事が用船者との間で取り決められ、主機・補機の使用に悪影響を及ぼさない燃料油を使用する事が大原則となります。
不幸にも規格外の燃料油が供給され、低質燃料油による機器の損傷を未然に防止するためには、補油した燃料油の性状を事前に把握し、低品質ではない事を確認するための一般分析が有効な手段として認知されています。しかし、一般分析によりISO 8217で規格された燃料油性状が満足していたとしても、主機・補機に悪影響を及ぼしたケースの報告が後を絶ちません。
2022年2月~3月にかけSingaporeで補油した燃料油が起因となる機関トラブルが多数報告された事(リンク)は記憶に新しいですが、トラブルに起因したと言われている燃料油性状はISO 8217で規格されていない、通常石油精製に含まれることのない物質でした。
- SOxスクラバー搭載船は除く
ISO8217の規格に適合しているか確認する一般分析に加え、以下に挙げる特殊分析を実施する事が更なる予防対策となると業界団体は紹介しています。
- アスファルテン
→ 燃焼性に影響
- FCA (Fuel Combustion Analysis)
→ 着火性の指標
- GC-MS (ガスクロトマトグラフィー質量分析法)
→ 有機化合物や廃ケミカル等異物を測量
- FT-IR (フーリエ変換赤外分光光度計)
→ 有機化合物の主成分分析
- TAN (全酸価)
→ 油の劣化度合の評価
- 混合安定性 (Compatibility)
→ 燃料油を混合した際のスラッジ形成の有無を確認
しかしながらこれらの分析には費用も時間も掛り、また分析結果を待たずして機器の不具合が起こってしまう事例も少なくありません。
本船上での対応として最も有効な手段は、使用を開始する場合には前処理を適切に実行し、使用開始時の機器状態をしっかりと監視し、異常の兆候が見えたら即刻その燃料油の使用を停止する事です。
以下にISO8217で規格されていない本来あるべきのない物質が混入した際の代表的な事例をご紹介しますので、これらの事象が発見された際にはその燃料油の取り扱いには十分ご注意ください。
- スチレン、インデン、ジシクロペンダジエン(DCPD)
→ 過剰なスラッジの生成、燃料ポンプの焼付け
- フェノール
→ 燃料が酸性となり金属部品の酸性腐食、焼付け
- 有機塩素化合物(1,2-ジクロロエタン、テトラクロロエチレン)
→ 潤滑性を阻害し燃料ポンプ、燃料噴射弁の焼付け
- 4-クミルフェノール
→ スラッジの過剰発生によるフィルターの閉塞、清浄機性能障害
- これらの物質が検出されたとしても同様な症状が必ず発生するとは限りません。
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