スエズ運河の航行前の海上試運転費用の負担に関して、船主と用船者の間で意見の相違が発生することがあります。本記事では、海上試運転がどのような規則に基づいて要請されるのかをご紹介します。
スエズ運河の航行規則である'Rules of Navigation'には、海上試運転に関連する規則としてArt. 102とArt.53が存在します。
Art.102-Trial Charges
SCA(Suez Canal Authority)は以下の理由から、スエズ運河を航行しようとする船舶に対して海上試運転を要請することがある。
- Safety of Navigation
- Vessel's first transit to the Suez Canal
- Vessel's first transit to the Suez Canal with draft over 50 feet
(中略) - 900 Suez Canal net tonnage 以上の船舶は、1度の試運転につきPilot またはCanal Expertに対して1000USドルの費用を支払わなければならない。
Art.53-Condition of Transit
- 50 Feetから66 Feetまでの喫水でSuez運河を航行する船舶は、運河を最初に航行する前に、スエズ港又はポートサイド港の水路のいずれかで海上試運転を実施しなければならない。
- 姉妹船は、グループの特定の船舶に付与された認可の恩恵を受けない。(=姉妹船が試運転を実施していたとしても船ごとに試運転が要求される)
この試運転に関して、BIMCOは以下のように述べています。
Art.53において、喫水が50feet(=15.24m)を超える船舶に対して、最初の航行時の試運転が明確に要求されています。一方で喫水50feet以下の船舶に対しては「最初の運河航行」に対して必ず試運転が必要であるといった記載はありません。
この試運転は喫水にかかわらず、最初の航行以外でも航行の安全にかかわる様々な理由で幅広い船舶が対象となり要求されます。
SCA Rules of Navigation
https://www.suezcanal.gov.eg/English/Navigation/Pages/RulesOfNavigation.aspx
BIMCO News
https://www.bimco.org/News/Ports/20171012-Suez-Canal
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