貨物の燻蒸作業は、本来は荷主手配のFumigatorにより実施される作業です。しかしながら、昨今ではCOVID-19による規制によりFumigatorが乗船して燻蒸することが難しいケースがあり、乗組員による燻蒸作業を要請されることがあります。
燻蒸作業は死亡事故が発生した例もある危険な作業であり、もし乗組員が実施する場合には十分な注意が必要です。以下に乗組員による燻蒸作業を実施する際の手続きや注意点を記載しますのでご参考ください。
1.乗組員は燻蒸作業を実施出来るのか?
そもそも乗組員が燻蒸作業を実施することに規制はあるのでしょうか?
IMSBC CODE 3.6において、貨物艙への燻蒸はIMOの勧告であるMSC.1/Circ.1264に基づいて実施するよう規定されています。この勧告において、燻蒸作業は訓練を受けた専門業者が実施するもので、乗組員は燻蒸作業を実施すべきではないと記載されています。
しかしながら、一定の条件下で旗国が乗組員の燻蒸作業を許可する場合があります。
2. 旗国の許可
前述の通りIMSBC CODE上は乗組員による燻蒸作業は認められていませんが、昨今のCOVID-19等によりFumigatorの国際移動が困難な状況において、一定の条件下で旗国の許可が取得できるケースがあります。
例えばPanama FlagにおいてはFumigatorが乗船できない理由を説明の上で、乗組員への必要な訓練やP保護具等の支給を条件として許可が下りたことがありました。
3. P&Iクラブへの確認
万が一燻蒸作業が理由で乗組員に健康被害が発生した場合に、P&I保険のてん補範囲となるかについて確認することをお勧めします。てん補範囲と回答されるケースが多いようですが、てん補の条件(乗組員が適切な訓練を受けたかなど)はP&Iクラブにより異なることがあります。
4. 積み地Authorityの許可
この許可は通常船主が取得するものではありませんが、許可が下りているのかを用船者へ確認します。上述2.の旗国の許可を取得するために、積み地Authorityの許可が必要なケースもあります。
5.乗組員への教育
作業について、乗組員に対して十分な訓練が実施されることを確認します。
6. 必要資材の確認
保護具、ガス検知器、その他の必要資材の積み込みを確認します。
7. 揚げ地でのPSC対応
揚げ地でPSC検船が実施された場合に、乗組員が燻蒸作業を行ったことをPSC検査官に指摘されるかもしれません。指摘に対して乗組員が適切に説明できるよう、少なくとも以下の資料や資材はPSC検査官に提示できるよう準備しておくことをお勧めします。
- 旗国が許可を出した証拠(Authorization Letterなど)
- 乗組員への訓練の記録
- 必要資材(保護具・ガス検知器など)
- 燻蒸前・作業中・燻蒸後のCheck List
- IMSBC CODE 3.6.3に基づいたLog Book への記録
以下のUKPIのCircularもご参照ください。
https://www.ukpandi.com/media/files/imports/13108/bulletins/3843---bulletin-683.pdf
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