バイオ燃料の流通が増加傾向にありますので、これまでご案内した内容及び、バイオ燃料使用に関するガイドラインをまとめました。
1.バイオ燃料の性状、特性、注意点
バイオ燃料のベースとなるものは大きく3種類(FAME、HVO、SVO)に分類されます。
・FAME(Fatty Acid Methyl Ester)の特徴
-動物性脂肪(獣脂油など)、植物油(パーム油、大豆油、菜種油)、使用済み食用油から生成されるバイオディーゼル油です
- 一般的にエンジンではブレンド成分として、または100%ドロップイン燃料として使用可能です
- 発熱量(Net Specific Energy)は従来の化石燃料と比べて約10%低く、37 MJ/kgです
- 良好な燃焼特性を持っていますが、エネルギー密度は化石燃料より低くなっています
- FAMEは化学組成と溶剤特性により、石油由来の燃料と比べて水分との親和性が高くなっています
- FAMEは石油由来の燃料より酸化に対する抵抗性が低く、時間とともに劣化しやすい特徴があります
- 硫黄含有量が非常に低くても、良好な潤滑性を提供します
- 酸素含有量が従来の燃料より高く、酸化安定性が低くなる傾向があります
・HVO(Hydrotreated Vegetable Oil)の特徴
- MGO(Marine Gas Oil)と比較して単位質量あたりのエネルギー含有量は同等 、セタン価が高く、着火遅れが短い傾向があります
- 硫黄含有量が極めて低いため潤滑性が低くなります
- 密度と粘度がMGOよりやや低い傾向があります
- 保管安定性が高く、微生物増殖や材料との適合性に関する懸念が減少します
・SVO (Straight Vegetable Oil)の特徴
- 菜種油、パーム油、大豆油などから抽出された純植物油や廃食用油を、エステル化処理や水素化処理を行わずに使用する燃料です
- 現状では国内での品質規格が存在していません
- 原料となる植物油の種類:
- 可食原料: - 菜種油 - 大豆油 - パーム油 - コーン油 - その他食用油
- 非可食原料: - 藻類 - UCO (Used Cooking Oil、廃食油)
- 品質管理が重要となり清浄工程など品質管理が適切に行われていることの確認が必要です
- 長期保管を避け、速やかに使い切ることが重要となります
- SVOの技術的な課題として従来のディーゼル燃料と比較して粘度、 酸素との反応性、曇り点(Cloud point)とPoor Pointの温度が高い事が挙げられます
- 長期使用における問題として1%という低濃度でも長期的なエンジン堆積物を引き起こす可能性があることが報告されています
- SVOは植物油を直接燃料として使用する方式ですが、品質管理や技術的な課題があり、使用には十分な注意が必要とされています
2.バイオ燃料(B24/30)使用時の問題
B24/30 FAMEベースの燃料油は既に多くの船舶で使用されている事が開示されており、FAMEベースに起因する大きな問題の報告事例は当社でも把握しておりません。
報告されている問題の大部分は、バイオ素材としてのFAMEではなく、ブレンドする化石燃料の成分に関連していると認識されており、高硫黄分、触媒粒子、沈殿物など、これらはすべてFAMEでは問題になりません。
問題が発生する可能性があるのは、FAME自体がEN14214などの必要な品質基準を満たしていない場合です。これまでのところ、大きな問題の報告事例は明らかにはなっていないようですが、今後、FAMEの供給が需要の増加に追いつかなくなると、品質低下のリスクが生じる可能性があります。
ご参考)
船舶におけるバイオ燃料の使用に関する取り扱い(Class NK)
船舶におけるバイオ燃料取り扱いガイドライン(国土交通省:2024年3月発行)
3.バイオ燃料の供給体制について
バイオ燃料の供給体制について、以下のような将来予測が示されています
- IEAの予測では、2023-2028年の期間において、特にブラジル、インドネシア、インドなどの新興国でバイオ燃料生産の大幅な成長が見込まれています
- S&Pグローバルの予測では、世界のバイオディーゼル需要は2022年の約100万バレル/日から2025年には140万バレル/日以上に達する見込みです
- 長期的には、2050年までに輸送用燃料需要の約4分の1をバイオ燃料が占めると予測されています
- 2024年のアジア太平洋地域の総バイオディーゼル需要は1,135万トンに達し、2023年比7.3%増加しました
- 2023年の海運用バイオディーゼルは、総バイオディーゼル消費量の約3-3.5%を占めています
- 原料供給の見通しについては、使用済み食用油(UCO)の世界的な供給量は2023年時点で約1,000万トンであり、2030-31年までに約1,500万トンに達すると予測されています
- UCOの収集プロセスが供給増加のボトルネックとなっており、インド、パキスタン、インドネシアなどが収集センターの潜在的な成長地域とされています
- 競合セクターとの関係として航空部門からの需要が今後5年間で急激に増加すると予測されています
- 海運産業への将来予測として2050年までに、基本シナリオでは世界の海運燃料需要の13%をバイオ燃料が占めると予測されています
- ただし、低位シナリオでは海運用のバイオマスが利用できず、高位シナリオでは総燃料要件の60%に達する可能性があるなど、予測には大きな幅があります
また添付の通り、各船級及び代表団体がバイオ燃料に関するガイダンスを開示していますのでご参照ください。
各資料に関するお問い合わせは当社海工務部までお気軽にお問い合わせください。
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